2013年02月08日
教え導くもの
昨日NHKラジオで刈屋解説員がこんなことを話していました。
(刈屋富士夫氏はスポーツ中継の名アナウンサーでもあります。)
ちょっと長くなります。
「10年ほど前のことですが、東京オリンピックで東洋の魔女といわれた女子バレーボールの選手だった葛西さんにインターヴューすることがありました。その中で私は当時『鬼の大松』といわれた大松博文監督についてお尋ねしました。
『鬼の大松と言われるくらいの人でしたから所謂スパルタ式の指導で練習は相当大変ではありませんでしたか』
と。
すると葛西さんは
『確かに厳しい方でした。しかし自分らの高校時代は殴る蹴るは当然の時代でしたが、先生は一度も手をあげるなどということはされませんでした。当時ソ連などの強豪チームの選手に比べ体躯に劣っていた日本人選手が勝つためにはこういう試合をしなければならない。そのためにはこういう練習が必要なんだと選手全員に諭されました。その厳しい練習の過程で『回転レシーブ』が生まれました。確かに練習はきつかったのですが私たちはそんな先生を信じることができたので、あのハードな練習に耐えることもできたのだと思います。』
というようなことを話されました。

当時、私たちがスポーツの現場を取材に行きますと、体罰などは当たり前のような風潮があり、私も何度もそんな場面を見かけてきました。正直なところ、私たちにもそれを許してしまうようなところがあったのですが、この話を伺ってからは、やはりそれは違うんだと思い直しました。
オリンピック憲章には 『非暴力、非差別、フェアプレー』 の三つの精神が明確に謳いこまれています。日本はあれから(東京オリンピックから)50年経った今になって初めてその問題に直面しているのです。今回の問題は単に柔道界の問題として矮小化するのでなく日本のスポーツ界全体の問題として改善に取り組む必要があるのではないでしょうか。」
『鬼の大松』は当時小学生だった僕にも深く記憶に刻まれている名将の称号です。
彼がそういう指揮官であったことを初めて知りました。
それからこれも今週のNHKの番組です。
スポーツとは関係ないのですが 『ファミリーヒストリー』 というTV番組で船越英一郎の家族にまつわる歴史を紹介していました。
彼の父、船越英二(彼も俳優)は20才の時、戦時下の学徒動員で兵役を経験したそうです。
軍の上陸訓練で毎日大変に辛い訓練が続き、彼はつい同僚に
「逃げ出したい。」
と心境を吐露してしまった。
そうすると、どこかでそれを聞きつけた上官が夜彼を呼び出した。
上官室の前に正座した船越は当然上官からの激しいビンタの嵐を想像し縮こまります。
すると上官は船越を殴ることなく
「なあ、船越、人間は逃げ出したい時がある。しかし今は逃げたら駄目なんだ。」
と諄々と諭したというのです。
船越はそのとき以降役者の道に進んでも、ことある度にそれを思い出し自分の生きる糧としたといいます。
殴る蹴るでは何も解決しない。
ひとはひとを信じることで自分を磨く。
信じさせることができることこそ教え導く者の技量なのだと思う。
(刈屋富士夫氏はスポーツ中継の名アナウンサーでもあります。)
ちょっと長くなります。
「10年ほど前のことですが、東京オリンピックで東洋の魔女といわれた女子バレーボールの選手だった葛西さんにインターヴューすることがありました。その中で私は当時『鬼の大松』といわれた大松博文監督についてお尋ねしました。
『鬼の大松と言われるくらいの人でしたから所謂スパルタ式の指導で練習は相当大変ではありませんでしたか』
と。
すると葛西さんは
『確かに厳しい方でした。しかし自分らの高校時代は殴る蹴るは当然の時代でしたが、先生は一度も手をあげるなどということはされませんでした。当時ソ連などの強豪チームの選手に比べ体躯に劣っていた日本人選手が勝つためにはこういう試合をしなければならない。そのためにはこういう練習が必要なんだと選手全員に諭されました。その厳しい練習の過程で『回転レシーブ』が生まれました。確かに練習はきつかったのですが私たちはそんな先生を信じることができたので、あのハードな練習に耐えることもできたのだと思います。』
というようなことを話されました。

当時、私たちがスポーツの現場を取材に行きますと、体罰などは当たり前のような風潮があり、私も何度もそんな場面を見かけてきました。正直なところ、私たちにもそれを許してしまうようなところがあったのですが、この話を伺ってからは、やはりそれは違うんだと思い直しました。
オリンピック憲章には 『非暴力、非差別、フェアプレー』 の三つの精神が明確に謳いこまれています。日本はあれから(東京オリンピックから)50年経った今になって初めてその問題に直面しているのです。今回の問題は単に柔道界の問題として矮小化するのでなく日本のスポーツ界全体の問題として改善に取り組む必要があるのではないでしょうか。」
『鬼の大松』は当時小学生だった僕にも深く記憶に刻まれている名将の称号です。
彼がそういう指揮官であったことを初めて知りました。
それからこれも今週のNHKの番組です。
スポーツとは関係ないのですが 『ファミリーヒストリー』 というTV番組で船越英一郎の家族にまつわる歴史を紹介していました。
彼の父、船越英二(彼も俳優)は20才の時、戦時下の学徒動員で兵役を経験したそうです。
軍の上陸訓練で毎日大変に辛い訓練が続き、彼はつい同僚に
「逃げ出したい。」
と心境を吐露してしまった。
そうすると、どこかでそれを聞きつけた上官が夜彼を呼び出した。
上官室の前に正座した船越は当然上官からの激しいビンタの嵐を想像し縮こまります。
すると上官は船越を殴ることなく
「なあ、船越、人間は逃げ出したい時がある。しかし今は逃げたら駄目なんだ。」
と諄々と諭したというのです。
船越はそのとき以降役者の道に進んでも、ことある度にそれを思い出し自分の生きる糧としたといいます。
殴る蹴るでは何も解決しない。
ひとはひとを信じることで自分を磨く。
信じさせることができることこそ教え導く者の技量なのだと思う。
Posted by 風街ろまん at 12:29│Comments(0)