2011年11月18日

TPP

今日はちと長くなりそう。
TPPについてです。


TPPのことは誤解を招きやすいので語らずにきましたが、TTPの問題は単に農業と貿易に係るだけの問題ではなく、その過程で浮き彫りになっている日本の政治の在り方そのもののほうがより問題が大きいように思えてなりません。

日本のTTP参加に対する議論を見ていますと、参加の是非は別として、政治における「空気」「気分」だけがどんよりと全体を取り巻いており、どうも肝心の中身の議論に至っていないのではないかということだけがはっきりしているようです。

賛成の勢力は企業経営者ですが、そこで糧を得ている従業員もまた利害を同じくするところでは賛成派なのでしょうか。
生活者、消費者としてはどうなのでしょう。
そのような声はあまり耳にしません。
ただ、彼らには農業を基盤とした地方経済の衰退の現実はあまり見えていないようです。

反対勢力については、どうも農家個人々々というより農業団体とそれをとりまく利害関係人達集団だけが雲間に隠れて大声をあげている図で、議論ではなく全く聞く耳も持たないという態度です。

もう随分前の話ですが、GATTウルグアイラウンドをめぐる国内状況もこれと似たようなものだったように記憶しています。
この時、協定への合意で揺れたときの総理は細川総理。
連立政権下の不安定な政治状況を背景にしていたのも今の政治状況と似ています。
この時もそうなのですが、それを機会に日本の農業の進むべき方向性がきっちり議論された形跡は余りない。

地方においては農業団体を票田としながら、一方で戦後の経済成長政策を牽引してきた財界と強い繋がりを持つ自民党自体が内部に対立する矛盾を抱えてきたという政治的背景。
これを整理すべき時には都市型の政党が政権にあるという奇妙な循環です。
野党である自民党の発言は今回も無責任で場当たり的なものに終始しています。
あたかも政権党でなくて良かったかのような。

結局当時は、反対に回る農業団体をなだめるために作られたウルグアイラウンド対策農業予算の創設とミニマムアクセスとして受け入れる輸入米対策という目の前の処理だけでいつの間にか決着が付き忘れられた。
この時きっちり議論され国の方向性が定まっていればまたぞろ同じような話で揉めることはなかったのではと思います。

その時の農業対策費が6兆円。
濡れ手で粟の6兆円です。
大盤振る舞いの6兆円です。
今回の復興財源16兆円と比較しても小さくない。
農林族議員は小躍りし、
『やっぱり族議員は止められない。』
とか。

しかしこの予算で恩恵を受けた農家など皆無に近いのです。
殆どは農協主導の箱ものや農道(スーパー林道と呼ばれています)、砂防ダムなどの公共事業に消えてしまいました。
待ち望む者どもの思い通りになりました。
覚えています?
一向に飛行機の飛んでこない農業専用空港。
一時問題になりました・・・・が、忘れられました。
これとか、温泉センターにもこの金が投下されたのです。
農業を守るというお題目の下に。

僕はこの頃、補助金が出るからとJAから焚き付けられ、収支を度外視した大規模畜舎や農業施設を建てた挙句に経営維持ができず一家離散した人たちを随分見ました。
原野にぽつりと管理する者もいない、荒れ果てた農業施設を見かけたかたもおられると思います。

当時、農業の再生に何が必要なのかなど現場では何も議論されなかった。
JAは交付の手数料や建設業者への仲介手数料で儲け、お金を差配できることで農家の支配力を強めました。
役人は農業団体やそこに巣食うコンサルタントが書いたペーパーだけでお金を出しました。

農家にすれば、ただ補助金がでるなら貰わないと損という損得だけの話で儲け話に乗っかっただけ。
僕は逆に農業の衰退を速めたのではと思います。

本来なら農家の立場にあるJAは財務を含めた経営の指導から商品化、販路の開拓、などでバックアップしなければならない筈であったのにそもそも人材がいない。
JAは自らの組織維持のために合併を繰り返し大規模化、商社化するだけで国や地域の農業育成には興味がないかの如きなのです。

今回の反対の大声の陰で彼らはまたぞろ対策費をせしめんとしているかのごとく僕には見えて気分が悪いのですが。
この教訓は生きるのか。
もう、目先にお金のない日本でもあります。

食糧自給率とほぼ全壊に近い日本の農業の再生は確かに大きな問題です。
何とかなるど、では後戻りできません。
早計だ、反対だという意見も理解しています。

しかし一方で日本は、石油エネルギーや鉄鋼などの生産財の大部分を海外から輸入し製品化することで糧を得、それを経済の基盤としています。
それが紛うことのない事実なのです。
農業生産者自体もそうやってできた生産機械や燃料の恩恵を受け、またその生産物を販売する相手である消費者の大部分は、そういった製品輸出や流通に関わり収入を得ている人たちである訳です。
経済は農業単体では決して回らないということに思いを致さなければならない。

その上で、国として食糧自給率の引き上げや農業の再生が重要課題であるとするなら、農作物の生産性向上や付加価値向上のために真に有効なお金を使うことを国民に問う必要があります。
国のために必要なのであれば、等しく国民はそのコストを負わなければならない。
それをいい加減にさせているのがこれまでの政治だと思うのです。
『あ・うん』のさじ加減だけでなんら本質を語らずに推し進めてきた罪です。

大きい声の主だけが裏で暴利を得るだけで、農業を担うものがひとりもいなくなるようなことにならないためには前を向いた議論が必要です。
議論をする場が必要です。

政治主導と言いながらまたしても玉虫色の決着か?




Posted by 風街ろまん at 16:13│Comments(3)
この記事へのコメント
ひろぽん様
ごめんなさい。
今朝ほどニュースを見てまして
『あれっ?俺もしかしてブログにTTPって書いた?』
思い直してサイトをみればしかと”TTP”と書いております。
しかも何度も。
あわてて修正。
耳まで真っ赤になりました。
そうしたら案の定、ひろぽんさんからゆうべのうちに
『TPPでは?』
としっかりご指摘が。
僕は余りに恥ずかしくて思わず折角の、有難いコメントを消してしまったのであります。
己の思い込みを棚に上げて。
いやあ、そちら方のが恥ずかしい。
改めてお詫びいたします。
Posted by 風街ろまん風街ろまん at 2011年11月19日 11:22
現在 いまのところ 円高の日本
TPP導入すると 日本農業はなくなってしまうのだろうか?
農家は 失業 土地を手放すのだろうか?
狂牛病を 少し 思い出す。日本ブランドの第1次生産業
世界は 平和なのだろうか?
敗戦直後の日本の食料危機 戦国時代の兵糧攻め なども 考えてしまう。
しかし 日本は 輸出 輸入で 発展してきた国でもある。輸出 輸入 (車 電化製品~)ビジネスと 世界平和。
日本が デカセーギに来た 外国人の扱い。その因果。戦時中の日本の侵略の仕方についても少し 考える~
インドネシア 中国 韓国の 国の発展は すごいですね。TPP 難しい問題ですね。
しかし 世界流通の発展は 凄いですね。日本の漁業は 大丈夫なのだろか?松阪牛を 食べたくなってっきた。
いつまで 日本は円高で いけるのだろうか。デフレ インフレ
TPPが決まると しばらくは 日本の消費者は 食糧は 安いだろけれどね?世界 後進国と先進国の発展。
日本は 科学先端技術の国になっていくのかなぁ?日本の四季 自然 島国地震  住宅問題 教育問題 小子化問題  未来は~
人間は どう生きるか
政治研究会(名前検討中 TPPを語る会
Posted by 村石太星人&c-3p0 at 2011年11月19日 14:42
Posted by 村石太星人&c-3p0 さま
ありがとうございます。
長いこと、結論のないまま放ったようなことで申し訳ありません。
経済に限らず、グローバル化の波はもう押し返せぬものに思えます。
TPPの賛否は兎も角も、日本人がただ内向きになっていってるこの頃の風潮にはどうも賛同しかねます。
幕末の攘夷論が論理的な根拠に基づくものでなく、ただの心情の発露でしかなかったこと。とは言え日本の転換を促す大きなエネルギーとなった事実。
それを思えば期待するものも少なくありません。
日本の農政の転換を待ち受ける環境も世界では醸成されていることに注目したいと思います。
Posted by 風街ろまん at 2011年12月26日 15:01
 
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