2011年11月02日

会社とは

昨日のネタのついでです。

会社の通常の意思決定機関は『取締役会』なのですが、日本の会社では代表取締役社長、或いは代表取締役会長である一個人が会社の全てを決定し、取締役会はただその個人の決定を追認するだけ、という会社が多いのです。

何故か。

取締役は株主総会で決定されることになっているのですが、その取締役候補は代表権を持った社長ないし会長が選任するからです。
要するに最高権力者の息が掛かっている取締役ですのでイエスマンとなるのは当然のこと。
オーナー経営であった創業当時のしきたりが、上場を果たした後にも、オーナー家が経営から離れた後にも、脈々と、半ば因習のごとく存在し続けるのが日本の企業のDNAとも言えます。

会社法上の規定などについてはまたの機会に書きますので、今回は一般的な解釈として読んでいただきたいのですが。

となると、企業トップには相当に意識の高い人格者が就かない限りコーポレートガバナンスは機能しないということになります。
これはもはやシステムではなく博奕みたいな運任せの世界です。

人間、一旦権力の座に就くとそれを手放したがらなくなるものです。
そこに上り詰めるまでは如何に立派な人格者であった人でも。

これは老害以外の何ものでもありません。

日本の大企業は沢山の有能な人材を抱えています。
中堅クラスの彼らはそれなりに意識も高い。
ですから、トップは逐一指図しなくとも、会社はある程度回っていきます。
しかしそうやっているとやがてそこには弛緩が発生し、経営陣は内向きなことばかりにしか目がいかなくなる。
トップは自らの存在を脅かす反対者はバサバサ切っていく。
あとは会社の体面と身の保身ばかりを考える輩が増殖します。

そうすると世間の常識という尺度がどっかへ行ってしまう。

九州電力のやらせメールを調べた第3者委員会の報告では、一般の従業員は非常に意識が高いと評価しています。
『結論として、九州電力の組織風土関連の諸変数は、きわめて良好な組織風土を示している。』
『「仕込み質問」等の行為は、事業活動の透明性が強く求められる電力会社にとって許容できないコンプライアンス違反行為と言うべきである。しかし、それに至る経過等に鑑みれば、それは、玄海原発3号機へのプルサーマル導入をめざす会社の方針に基づいて行
われたもので、その責任は、もっぱら会社上層部にあると解するべきであり・・・・』
と述べ、
『良好な組織風土』にある意識の高い社員が違反行為を行ったのは経営陣の問題だと結論づけています。

なのに九州電力、往生際が悪い。

かつて優秀な社員として育ち階段を昇ってきたオリンパスの役員諸氏が、素人でもわかるような今回の疑惑に手を染めた、或いは口をつぐみ同意したのは、これと同じ構図のようです。
尤も疑惑の真偽を確かめた訳ではなく、監査法人も会計処理を承認していますので、めったやたらなことを一個人が言うべきことではないのですが。

僕自身はオリンパスカメラのユーザーでしたし、今年発売された同社のマイクロ一眼レフにも少なからず魅力を持っています。
ですからこの問題も、どうか会社の信用を棄損することなく解決していただきたいと願っております。



Posted by 風街ろまん at 17:42│Comments(0)
 
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