2010年11月11日

懐かしのカミカゼタクシー

仕事場からの帰りしな、鶴屋ストア前辺りを走っていますと、いきなり、1台のタクシーが僕の車の前に割り込んできました。
どうやらタクシーにすれば、右側車線を走っていたところ、前を行く車が急に右ウィンカーを点滅させて止まってしまったらしい。
結構なスピードを出していたタクシーは、止まるに止まれず、左車線に逃げた所が僕の車の前だった、というようなところらしいです。
ブレーキを踏み「危ねえなあ!」
と思う間もなく、タクシーは前の車をかわすと再び右側の追い越し車線に戻り、そのまますっ飛ばして彼方に消えて行きました。
『おお、久し振りだ。』
僕は腹立ちよりも懐かしさを感じてしまったのです。

昔(この話で言うところの昔とは凡そ20年以前、バブル崩壊前の時代です。)、タクシーの運転と言えば多少の荒っぽさはありましたが、総じて上手かった。
「アラヨッ!」って感じでしょうか。

ところが、この頃はと言えば、タクシーの後ろについてしまうととんでもないことになります。
とろとろとろと走るのに苛付くくらいならまだいいのですが、ウィンカーも点けず、急にふらふらと左に寄り始めたかと思うといきなり止まる。
信号は無視する。

ある意味、怖くて近づけません。

原因は高齢のドライバーさんが増えたことにつきます。
そう思って街を走るタクシーのドライバーを見れば7割が高齢者です。
中には免許を返上した方がいいんじゃあ、というような後期高齢者の方も。

そりゃそうですね。
タクシードライバーの給与は歩合制だというのはご存知かと思いますが、総支給は凡そ月の売上高(水揚げ)の45~55%になります。
しかしこの頃の1台当たりの1日売り上げは2万円かつかつという状況です。
(勿論地域によっても違いますが)
で月に25日営業で50万円前後の売り上げ。
給与は総支給で25万円前後。
子供を学校にやっている40代の世帯では、暮らせません。

何で売り上げが減っているのか。

規制緩和による他業界や他地域からの新規参入で同一地域の車両が増えすぎた。
地方の不況感からの利用機会の低迷。
人口減少による絶対需要の減少。

当然の世界です。
で、年金世代が生活補填の為にパートタイムでドライバーをやるようになった。

おおよそこんな事情のようです。
2年前から国土交通省は規制緩和に再び扉を閉ざしました。
自由競争が本当に正しいのか、考え込まざるを得ない時代になりました。




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Posted by 風街ろまん at 23:58│Comments(0)
 
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