2010年07月02日

住宅という資産 続編

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昨日今年度の路線価が国税庁より発表になりました。
今年相続が発生された方、相続財産を計算するのにはこの路線価が基準になります。
国税庁のホームページに22年度の全国の路線価が掲載してありますので、必要な方はどうぞご覧いただきますように。

⇒ 22年度財産評価基準書

熊本市内の住宅地は凡そ3%程、今年も下落しました。

さて、昨日の続きです。

木造1戸建ての住宅の場合、木造の鑑定上の経済的耐用年数は20年です。
20年でほぼ建物の価値は見なくなってしまいます。
俺の家は総檜造りだ、石州の陶器瓦だ、本漆喰塗りだと言っても不動産の市場では哀れなほどバッサリやられてしまいます。

これが欧米だと、中古住宅でもリホームなど綺麗に手入れが行き届いていれば、逆に価格が上がることもあるのですが。

日本特有の事情があるようです。

ひとつは日本の高温多湿な気候の問題。
今みたいに空調設備が完備していなかった昭和40年代頃まで、日本の住宅は、夏の生活に照準を置いて造られていました。
障子1枚開ければ風が通り抜けるような家。
冬は着膨れして寒さを凌ぐからとにかく夏は涼しくと。
だから一般の民衆の家は文化的な色彩は別として、直ぐにでも壊れてしまうような簡便な構造です。

もうひとつが戦後の人口爆発と高度経済成長。
団塊の世代が家庭を持つ頃は、何しろ住宅が足りずに、急場しのぎの粗製乱造の家。
土地は足りない足りないで毎年地価が上がっていくと、土地を買う資金の方が高く付いて住宅建築に割く資金は余裕が無い。
そういう事情もあります。
だから昭和30年代から40年代に建った家はどれも同じようなもので耐久力がない。

TVの 『ビフォーア・アフター』 を見てますとそこのとこの歴史が透けて見えます。
見えない梁などは手抜き工事。
加えて、基礎はと見ればダゴ石に乗っかているだけで、おまけにシロアリでボロボロ。
基礎も柱も梁も全部やり替え。
これってリフォームじゃねえ!
そんな場面ばかりです。

なるほどこれであれば住宅の価値も20年の筈だ。

こう言った風土的、歴史的事情で家は20年といった概念が生まれ、不動産流通の中でも定着したのだと言えます。
時代の必要悪であったのかも知れませんが悪習ですね。

しかし今の建築は木造でも50年やそこらで壊れるものではない。
ましてやマンションのような耐火構造物はゆうに100年を超えます。
今もニューヨーク観光名所のエンパイアステートビルの竣工は1931年です。
およそ築80年ですが現代のオフィスとして充分に役割を果たしています。

国土交通省でもこの10年ほど100年住宅を提唱しています。
ここのところが認識されないと、株の回転売買ではありませんが、壊しては造るがこれからも短期的に繰り返されます。
この不況下で新築マイホームの夢を叶えようとすると建売を買うしかありません。
建売住宅メーカーを揶揄する訳ではありませんし、今は品質も良くなったのは確かです。
しかし、壁を剥いで見ると・・・・という家もあるのは事実です。

最近は家賃住宅なるものが売れているとか。
「家賃を払い続けるくらいなら家賃程度のローンで家が買える。」
これが売り文句のようです。

しかし考えてみてください。
「ローンは35年」
「家の価値は20年」で終わってしまうような買い物にならないように。

“ローンがきつくなったら売って返せばいい。”は絶対通用しません。
20年の減算カーブと35年の減算カーブとを比較すれば一目瞭然です。


住宅という資産 続編



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Posted by 風街ろまん at 18:33│Comments(0)
 
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