2010年01月07日

モラトリアム法を読む

昨年末のことですが、12月4日に
『中小企業者に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律』
が施行されました。
亀井大臣の肝煎りでできた、いわゆる「モラトリアム法案」です。

企業経営者の方も金融機関現場の方も意外に条文を読まれている人は少ないようです。
中味を掻い摘んで解説しますとこういうことです。

金融機関に対しこの法律が義務付けているのは
・ 中小企業者からの借入申し出についてはできる限り貸せるように努力しなさいね。
・ 中小企業者から経営が厳しいから、或いは住宅ローン利用者から生活が苦しいから借入の返済負担をどがんかしてと相談があったら、できる限りそうできるよう努力してやってね。
・ 条件変更したけんもう貸されんとか、なるべく言わんように。
・ 同じように借入がある他の金融機関などでそんな話が出ているんだったら、そこと一緒になって助けてやれるように努力してね。
・ 借主からこういった申し出があったら、金融機関は必ずそのことを記録して、結果そのあとどうしたかも記録して、半年に1回、監督官庁に報告せなんよ。
報告がもれていたり嘘を報告したりしたら罰則があるよ。
まあそんなとこです。

見られてのとおり、報告以外は全て努力義務になっていて罰則はありません。
「努力しています。」
と言えば、大方通ってしまう。
とも言えます。

なんだそれ、と思われるでしょうね。

実際、これがこの法律の限界なんですね。
本来、二者間で交わされた貸借契約条項について第三者である国が「ああしろ、こうしろ」というのは筋違いです。
そんな横槍が通るようであればもはや法治国家とは言えない訳ですから。

ただ、この『努力義務』ってやつも、銀行には結構利けるんです。
だって銀行の監督官庁の金融庁がこさえた法律です。
睨まれたら「オットロシー!」
銀行はギリギリのところで金融庁の意図に沿うようには行動するはずです。
それから行政側も、9条 『金融検査の対応』 と10条 『政府の責務』 のなかで、「ちゃんと対応したらちゃんと見てやるよ」というお約束をしています。

さて大事なとこですが、じゃあこの法律って中小企業経営者にとってありがたいのかってことです。

それはありがたいに決まってます。
返していける企業はどうでもいいのですが、返せない企業にとっては先ず、暫くは資金繰りで走り回ることから開放されます。
しかし、猶予された期間が過ぎればまた走り回らなければなりませんので、要はこの期間なんです。
この期間に何をしなきゃならないのかが見えている経営者にとってはありがたい。
経営改善の意識のない経営者にとってはもう1回お正月が迎えられるだけのこと。
そういうことです。

金融機関には金融庁から背中を押されたからその期間だけ対応するのではなく、企業経営者と一緒になって企業を再生できるように助言をお願いしたいと思っています。
これは平成16年に金融庁が銀行に求めた『リレーションシップバンキング』の精神だったはずですが形骸化してしまった。
そのためにはキャッシュフローも判らないような銀行員は窓口に置かないでくださいね。

さて、この法律はあくまで臨時措置法で、その期限は平成23年3月末。
来年の3月まで。
当初、亀井さんが言ってた3年間ではなくなりました。

意外と時間は残されていないんです。


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Posted by 風街ろまん at 19:35│Comments(0)
 
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