2009年06月19日

多角経営の死角

殆どの中小企業は事業領域を広げることで9割方失敗しています。
事業領域拡大とはいわゆる多角化経営のことです。

中小企業が多角経営化に進むインセンティブの多くが本業不振のようです。
『本業が先細りだから他のことを何かやらないと不安だ。』
と殆どの社長さんが言われます。
だけどちょっと待った。

事業領域の拡大には垂直拡大と水平拡大があります。
垂直とは本業の川上或いは川下へ領域を拡大する事を言います。
メーカーが、作ったものを直接自分で販売する。
これが川下戦略。
小売店が商品を自社で生産する。
これが川上遡上戦略。

これらはどちらかと言えば戦略に基づく前向きな拡大理由になります。

作ったものを直接売れば付加価値が高まり多くの利益を手に入れられる。
直接売ることで消費者が何を求めているかが理解でき、消費者ニーズにあった商品設計をすることで製造の売上げを増やすことができる。

ユニクロももともとはメーカーの商品を仕入れて売っていましたが、もっと良いものを安く提供したいとのことから、自社商品を全量中国の企業に生産委託することになりました。

多角経営の死角ワタミは居酒屋和民で出す食材のうち野菜を無農薬のもので提供する為、自社で農業を始めています。

メリットは沢山あります。
しかし、店舗の商品在庫だけでなく製品在庫を抱えてしまい資金繰りがきつくなる。
おまけに売れなければもっと悲惨。
メーカーだった会社は販売ノウハウがないため思うように売れない。                  (ワタミファーム)

多角化とは本業の足を引っ張ってしまうリスクを抱えることです。

垂直に対して水平とは、
魚屋をやっているけど野菜も売ったら両方買う人が便利で儲かるんじゃないか。
居酒屋の調理技術を生かすため介護施設や病院の給食事業を始めた。
など自社の販売設備や製造技術を他のものの販売や製造に応用することを言います。
スーパーや百貨店は小売業の行き着くところです。
今、彼らは儲かっていますか?

戦略としては悪くありません。
しかし隣り合わせの仕事とは言え、その仕事には独特のノウハウや商習慣が存在する訳ですからそれをクリアするものがないとすんなりとは行きません。
何処にでも在るような野菜を漫然と並べただけでは逆に本業の魚が目立たなくなり売れなくなるということです。

特に大事なことは事業領域の拡大はしたたかな前向きの戦略の下になされなければならないと言うことです。
最初に言ったみたいに本業から逃げる為から出発した多角化は、もともと充分な資金も人材や技術の裏づけもなく始めることですから、素人が何もなく事業を開始するのと何等変わりません。
裸で火の中に飛び込むようなものです。
新規事業の資金は本業のキャッシュフローをかすめてくる訳ですから当然本業に無理が来ます。
本業の人材を新規事業に当てても所詮素人、人材を失い本業はもっと疎かになります。
他所から経験者を連れてきても経営陣が素人なので仕事のチェックができません。
折角作った新会社は貴方任せの金食い虫になるのがオチなのです。

何かやってると気休めにはなりますが余計なことを考えて夢見る時間こそ無駄です。

さて、典型的な失敗の事例はまた次に書いてみたいと思います。




Posted by 風街ろまん at 18:26│Comments(0)
 
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