2009年05月28日

鉄スクラップのこと

鉄スクラップのこと今年の3月から、鉄スクラップ回収を営む企業に調査に入り、事業再生計画を作っているところです。
おかげで、金属回収業には少しばかり詳しくなりました。

昨年夏、鉄及び非鉄金属スクラップの価格高騰は異常でした。
皆さんもお聞き及びのとおり、資材置き場に積んであった電線がそっくり持っていかれたとかいう新聞ネタが結構あちこちで聞かれました。

市の資源ごみ回収の日のごみ置き場には、自転車に大きなごみ袋を積んだおじさん達が群がっていたものですが、最近ではめったに見なくなりました。

鉄スクラップは昨年の7月の第1週にピークをつけた後一挙に下落し10月にはピーク時の7分の1にまで下がりました。
物によっては20分の1も。

実際米国の投資銀行破綻で金融危機が表面化したのが9月末でしたから、市場は2ヶ月早く臭いを察知していたのでしょう。
危機の表面化後はそれこそ一気です。

新断バラ炉前価格という指標を例にとれば、7月の第1週に77,000円。
金融危機勃発の前の8月下旬が44,000円。
10月最終週に13,500円。

値上がり期待で在庫を大量に持っていたところは大変です。

日本のように戦前から長いこと工業国として発展してきた国には大変な数の鉄鋼蓄積量と言うものが在ります。
いわゆる埋蔵鉄鋼です。
車や鉄道や建物の鋼材や橋などなど。
廃車や建て替えが起きると鉄スクラップが生まれます。
鉄スクラップは主に国内の電炉メーカーに運ばれ主として建設用のH鋼や鉄筋になるほか、一部の高炉メーカーでも高騰する鉄鉱石の補完として原料になります。

しかしバブル以降ずっと需要を供給が上回ってきたため、2000年以降大変な安さ(6,000円程度)で長いこと推移していたわけです。
当時のスクラップ屋さんには、いつからあるともなく中古車が堆く野積みされ、空き地には持ち主の分からない車が放置されていたのをご記憶の方が多いと思います。
当時は廃棄料を捨てるものが負担していました。

ところがこの3,4年中国や韓国が鉄スクラップを凄い勢いで輸入するようになりました。
これらの国は鉄鋼蓄積が薄いためなかなか量が出回らない。
外にそれを求めるようになったと言うことです。
あとは中国の発展の勢いそのままにスクラップはあれよあれよと高騰したということ。

一旦下がりましたが今は24,000円前後まで回復しています。
しかし、まだスクラップ業者は嘆いています。
あの高値の時、国内のありとあらゆる眠っていたスクラップは掘り起こされてしまったのです。

最近は見かけないでしょう。
あの野積みされた車の山は。

不動産バブル崩壊で新たな建物が建ちません。
すると解体もありません。

急落しましたが、世の趨勢でやがてまた価格は上昇するでしょう。
かの国は人口と勢いが違います。

そういえば、今月のはじめ、岐阜県で起った電線泥棒の新聞記事がありました。
泥棒は電柱によじ登り、痺れながら送電線を60m切断しました。
あっぱれです。
その電線の売却金額は2600円だったとか。
生活苦でつい・・・・とうなだれてます。
今することじゃないよね。

大成経営コンサルティンググループ
(株)船井財産コンサルタンツ 
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Posted by 風街ろまん at 23:13│Comments(0)
 
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