2009年05月27日

相続にまつわる悲哀

今月の相続セミナーも恙無く終わることができました。
お出でいただいた皆様、ありがとうございました。
女性7割、男性3割。
殆どが40代50代。
74歳の女性が最高齢でした。

いつものことですが、セミナーのあとで相談を承っています。
一番多いのがご兄弟間の確執というか、将来起こるであろうトラブルを見据えた相談です。

親が元気なうちにやっておくべき将来の相続争いを回避する方法。
これはお教えできますが、兄弟間の確執には踏み込めません。
昨日、遺留分減殺請求のお話をさらっと致しましたが、既に戦いの場が用意された以上後戻りはできません。
それでも権利の主張が認められる以上は、その権利を無視した側の負けです。
判決まで行くのか、その前に話し合いで幕引きになるのかの何れかです。

争いごとではないのですが、こういうことがありました。
相談者は既に定年退職された62歳のAさん。
父上はやがて90歳でご健在。
兄弟は弟が二人、何れも学校を出てから就職で上京し今も東京で暮らしています。
片側二車線の国道沿いに200坪の土地があり、昔ながらの大きな家が真ん中に建っています。
弟二人が帰郷した際、つい相続の話になり、弟二人はこう言ったそうです。
「もう今更熊本に帰るつもりはないので、相続分は少し少なくてもいいからお金で貰いたい。」
Aさんの父上は貧乏では在りませんでしたが、金融資産は殆ど持っていません。
相続財産は200坪の自宅だけ。
自宅前の路線価が坪70万円ですから相続評価は1億4千万円。
だけど現金資産は殆どありません。
相続が発生すれば各人の法定相続権は約4千7百万円。

相続税は6百万円ですが、弟への財産分与分はどうやって払います?
形状から切り売りができない土地だけに全部売却して分配しなければなりません。
先祖伝来の家が人手に渡ります。
土地の譲渡税(1億4千万円で売れたとき)が2660万円発生します(居住用財産の控除は考慮していません)。
相続税と譲渡税を支払った残りが10740万円。
それぞれに分けたあとAさんは近くにまた家を買わねばなりません。

これがどこでも起こっている現実です。

この不況下で誰もが少しでもお金が欲しい。
サラリーマンの平均所得はこの10年下がり続けています。

東京に出て行った弟も遊んで暮らしてきた訳ではない。
もう次の世代になりつつある今、自分も少しくらい残してもやりたい。

切ない話ですね。
外に選択肢のない相談には答えようがありません。




Posted by 風街ろまん at 20:43│Comments(0)
 
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