2009年01月15日

トヨタの赤字は免罪符?

昨年末頃から話題になっているのがトヨタの赤字決算発表に対する経済アナリスト、マスコミ、一般市民の反応です。
話題になるのは日本一の規模を持つ企業だから、日本を代表する企業だから、自動車販売台数世界一になった企業だから、49年の労働争議時に経験して以来60年に亘り赤字になったことのない企業だから、トヨタ生産方式と言われるくらい製造業の手本となって効率化を進めてきた筋肉質の企業だから・・・・・話題になる要素にはこと欠きません。
大方の意見は、あのビッグ3が破綻の渕で喘いでいるくらいだから、あれだけの堅実企業でも赤字を免れないんだ、だから今回の米国発金融不況は100年に1度という規模なんだ。と驚きつつも妙に納得してしまっています。
でも、何か腑に落ちない。
『あのトヨタでも』の裏にはトヨタ擁護の色合いが強く滲んでいるからです。
いつも思うのですが日本のマスコミのトヨタ信奉とも思える報道姿勢はどうも馴染めません。
確かに賞賛すべきところは沢山ありますがそれはおかしいんじゃないのというところもありそれは記事を飾らない。
穿った見方をすれば、日本一の広告料を受託している最大のクライアントに気を遣っているという図ですかね。
このところのトヨタは急速に規模を拡大していくなかでリコールや労働争議などが頻発していました。
マスコミが騒いだGMとのNO1争いについ浮ついてしまったトヨタが見えました。
それから従来のトヨタの戦略とは真反対の大型SUV(タンドラ)生産開始などまさにビッグ3の収益源への追従とも思える戦略面での稚拙さ(企業理念と相容れない動き)が疑問でした。実際ビッグ3が今の状態になった大きな原因のひとつがSUVへの過剰傾斜だったからです。
今回の赤字決算見通しは勿論金融恐慌が背景にありますが、明らかに経営上の不手際と判断ミスが引き金になっています。
それからトヨタはこれを期にかは知りませんが経営権を三度創業家豊田へ返還します。
こういう時代だからこそ豊田家への求心力を期待しているのかも知れませんが。
何故こんなことにこだわるかと言うと『あのトヨタが』を免罪符に日本中の企業が自らの経営責任は棚に置き簡単に人を切っているからです。
僕らが事業再生に入っていざ財務のリストラ策を検討する段階になると銀行、或いは経営者から決まっていの一番に従業員の縮小(=解雇)が上がってきます。
あまりにも簡単に。
そんなことが簡単にできるんだったら誰でも経営者になれますよ。
従業員を切ることで会社が組織がチームがどうなるかなど考え及ばず見えているのは人件費の数字だけ。
ヒューマニズムで言っているのではありません。
最後はいたし方ないかもしれませんが、経営改善に欠かすことができないのがマンパワーだからです。
人件費を製造原価としか考えてない『今風の』社長さんには経営を云々する資格がない。



Posted by 風街ろまん at 02:17│Comments(0)
 
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